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メタキャットさんの公開日キラ
- 2014年
02月02日
11:49
-
姫の犯した罪と罰
かぐや姫の物語を観ました。
この作品は、何と言っても、絵が良いですね。
墨線に色を配したような雰囲気で、発色もうつくしく、
かぐや姫のイメージを実によく表しています。
まんがニッポン昔話見たいって言えば伝わりやすいでしょうか?
また、人の動きに関する絵の演出が良いといいますか、
のっけから竹取の翁が竹を取る仕事振りが丁寧に描かれており、
古き良き日本へいざなってくれます。
物語はこ存じの通り、竹取の翁がかぐや姫を見出す展開で進みます。
スタンダード
ここまではまったくスタンダード。
奇を衒うような展開はありません。
ただ、拾われた赤ん坊は、当初、近所の子たちにタケノコと、呼ばれて育つのはオリジナルな解釈ですね。
すくすく育ち、子供達と遊ぶ姫の様子は
戦中のアニメ、桃太郎、海の神兵の
一時帰省した兵隊たちが山中で遊ぶシーンを彷彿させます。
なお、
平安時代の山の暮らしが、どんなものかわかりませんが、
キジ鍋をやろうという辺りは、今風かも。
まあ、山の野草やキノコとキジ肉を具としてやる気ですからワイルドです。
この当時味噌や醤油がどこまで普及していたのか、わかりませんけど。
なお、
実際は、そんなキジ鍋などつつくシーンはなく、
都暮らしに場面は移ります。
姫には教育係が付き、高貴な姫としての生活が始まるのですが、
これは、姫にはストレスとなります。
ん?
ストレス?
って、思うところ。
やがて、名付け親から名前を頂き、いよいよ
かぐや姫
と呼ばれるようになります。
この辺りの、
都での暮らしや、風俗の描写なんかは、
このまま、落窪物語や、源氏物語をやってくれないかなぁと、思わせ、
その絵的技術に脱帽します。
まさに、逸品。
一方で、心の動きの演出としては、
高貴な公達からの求婚に
「顔も見たことないのに…」
とつぶやく姫の感覚は、極めて今風。
現代の感性と、平安の感性の対立という図式を明確化させて行きます。
まあ、当初からなんとなくそんな雰囲気はありましたけどね。
山の暮らしや、山の民には肯定的で、都暮らしや貴族たちには否定的。
極めて胡散臭いプロレタリアズム視点です。
ですが作中、かぐや姫のそのような感性の根がどこで生まれ、育まれたのかは、答えません。
何せ故郷の月の都の感性も、かぐや姫にとっては異質だからです。
それがかぐや姫の罪
だから地上に送られたというわけですが、
そこは、なるほどと思えても、
月界でも、地上界でもない、かぐや姫の感性の出処について、全く説明無しなのが、この作品の惜しいところです。
物語は進み、やがて、月からの使者が来ます。
宇宙人でも、UFOでもなく、天界からの使者が天竺風な出立で雲に乗って来訪するのは、昔ながら絵巻の再現で実に好ましい。
そして、かぐや姫は月に、帰ります。
泣き叫ぶ翁と嫗を後にして。
振り返ると地球が見えるのは、今の感性の演出で、感動的なシーンなのですが、ちょっと興ざめます…。
そこでおしまい。
エピローグで翁と嫗が不老不死の薬を日本一高い山で燃やすシーンがあるかと思ったのですが、ありませんでした。
それも残念。
富士山の名前の由来の一つとなったエピソードなので、いれてもらいたかったんですけどね。
全体的な印象は
いい意味でも、悪い意味でも、昭和をすごく感じさせる作品というもの。
こう言う和の伝統を感じさせる、素朴な絵柄が動く技術は、後世に残して頂きたいものです。
それも含めて
星は4つですね!
⇒メタ的映画評価